内定者の日常

[秘密公開]敏腕マーケターに学ぶUSJマーケティング論

内定者の日常
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皆さんは、ユニバーサルスタジオジャパン、いわゆる「USJ」を訪れたことはありますか?

USJは、米国ユニバーサルスタジオの海外進出第1号として2001年に誕生した、ハリウッド映画をモチーフとしたテーマパークです。

東京ディズニーリゾートと並んで日本の2大テーマパークとして有名ですよね!

USJと聞いて、

・ハリーポッターといえばUSJ
・ハロウィンといえばUSJ
・後ろ向きジェットコースターと言えばUSJ

そんなイメージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか!

しかし、そんな大人気テーマパークであるUSJが2004年、開業3年目にして事実上の経営破綻をしていたことをご存知でしょうか?

初年度の入場者数は1100万人を数え、世界でもオープンから最も速いペースで1000万人を突破したテーマパークとして華々しいデビューを飾ったものの、2年目からは700万人台へと大幅に落ち込み、2009年には日本経済のデフレが深刻化する中、過去最低の700万人台前半にまで落ち込んでいたのです。

そのような瀕死状態のテーマパークを、どのようにしてV字回復させることが出来たのでしょうか。

今回の記事では、

・マーケティングに興味がある!
・USJがなんでこんなに人気のテーマパークになったのか知りたい!
・シンプルにUSJが好き!

という方に向けて、USJが経営難での瀕死状態から見事な復活劇を遂げた理由についてマーケティングの観点から解説していきます。

ご挨拶が遅れましたが、はウィンキューブホールディングス21卒内定者の”ちゃど”こと田通麻結と申します。
私のことは、以前書かせていただいたこちらの記事にて詳しく記載していますので、ぜひこちらも併せてご覧ください!
マーケティング素人の就活生必見!身近なマーケティングをズバリ解説
はじめまして!現在ウィンキューブホールディングスHR事業部で内定者アルバイトをさせていただいている、“ちゃど”こと田通麻結です! わたしの苗字は田通と書いて“たどおり”と読むのですが、珍しいねと言われることがとても多いんです!...

私の従妹が京都に住んでいるので、小さいころから何度もUSJへ遊びに行っていました。あの非日常を味わえる空間が病みつきで、長期休暇が毎年待ち遠しかったことを今でも覚えています!

高校生になってからは友達とお揃いコーデを楽しみに行ったり、突然できた部活の休みに弾丸で遊びに行ったりと、いくつになってもワクワクできる、本当に大好きな場所です!社会人になってもおばあちゃんになっても、きっとそれは変わらないんだろうな~と思います。

この記事を読み終えるころには、マーケティングのすばらしさに魅了されるだけではなく、マーケティングの本質を理解することが出来るので普段とは違う視点で物事を見れるようになっているはずです!

年齢問わずたくさんの人から絶大な人気を誇るUSJですが、ますますその虜になってしまうに違いありません!

 

敏腕マーケター”森岡毅(もりおかつよし)”さんに学ぶ再建術

森岡さんがUSJに入社したのは2010年の6月。P&G世界本社にて世界規模のヘアケアブランドのマーケティングを行う森岡さんに目をつけヘッドハンティングしたのが、当時のUSJのCEO(最高経営責任者)であるグレンガンペルさんでした。

2017年に退社し、現在は世界初のマーケティングノウハウの会社を立ち上げ代表取締役CEOとして活躍しています。

上のグラフからも見て分かるように、森岡さんがUSJのCMO(最高マーケティング責任者)として就任して以降の入場者数の回復は目覚ましく、2013年には初年度以来の1000万人に到達しました。2014年には過去最高の1200万人を突破し、2015年には東京ディズニーシーを抜いて1390万人となりました。なんとこの時点で世界第4位のテーマパークにランクイン。そして2016年10月には、単月で過去最高の175万人を集客し、ついに東京ディズニーランドまでも抜く記録となりました。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせた東京ディズニーリゾートにはまだまだ敵いませんが、凄まじい復活劇を遂げたといっても過言ではありませんね!

世界最高のエンターテイメントパークへ

そもそもUSJが衰退した理由の1つとして、”映画のテーマパーク”というコンセプトのズレが原因であるという風に言われていました。USJは元々、映画をもとにしたテーマパークをコンセプトにオープンし、特にハリウッド映画の世界を再現することをこだわってきました。

それが、グレンガンペルさんがCEOに就任してから行われたハローキティの投入や夜の電飾パレードなどの実施により、”映画だけ”にこだわったコンセプトが迷走してしまったのです。経営破綻からの危機脱出は成功したものの、それからの集客はほぼ横ばいで、東京ディズニーリゾートとの差別化もできていない現状がありました。

そこで森岡さんは、「映画をコンセプトにしたテーマパーク」から「世界最高のエンターテインメントパーク」へUSJの方針を変更することに決めました。

日本人がエンターテインメントを楽しむ際に映画を見る確率はたったの1割程度。それでは残りの9割のチャンスを逃がしてしまっていることになります。アニメやゲーム、コンサートやレストランなど、さまざまなエンターテインメントの要素を取り入れていかなければ、巨大なテーマパークは維持できないと森岡さんは強く主張し、USJに次々と新しい風を送り込んでいきました。

これは後にUSJの根本を変えた、最もインパクトのある改革案となりましたが、当時は古くからUSJに携わってきた社内外からの強い反対が相次ぎました。それが今では、日本の漫画やアニメ、ゲームは世界規模のマーケットに成長し、日本のファンのみならず世界各国のファンがUSJに注目する結果となりました。まさに映画以外のエンタメが秘めていた集客力を活用することに成功したと言えますね!

むしろ世界最高のエンタメが終結するテーマパークというのが、今や日本のUSJにしかない魅力、唯一無二の強みにさえなっていると言えます。次は一体どんな体験が待っているのかワクワクしますね!

お金がなくても集客アップはできる⁈

森岡さんがCMOに着任してすぐにある問題に直面しました。

それは、お金の問題でした。
当時のUSJは経営難であったため、USJを再建したくてもそれにかけられる資金が十分になかったのです。

そこで森岡さんが着目したのが”ハロウィン”でした。

ハロウィンは当時のUSJでも最大の集客数を誇る繁忙期。
普通なら「集客の少ない時期こそ打開策を打ち出していく必要があるのでは?」と考えてしまいますが、森岡さんは違いました。

伸びしろが残る未開の時期こそがハロウィンだと考えたのです。
確かに、私たち人間もいきなり短所を伸ばすよりも長所を伸ばした方が伸びるといいます。そう考えると、すでに繁忙期であったハロウィンも、さらに伸ばすことが出来そうな気がしますよね。

マーケティングでは「戦略あってこその戦術だ」とよく言われます。実際私が今受けている入社前研修でも耳にたこができるほどこの言葉を聞きますが、やはりこの事例を見ても「どう戦うかの前にどう戦うかを正しく見極めること」が重要であることが分かります。

では既に最大の集客数を誇る人気イベントであったハロウィンを、お金をかけずにどのようにして伸ばしていったのでしょうか?

これらを踏まえて考案されたのが、USJの街をゾンビが徘徊するという今までとは一風変わった新しいイベント「ハロウィンホラーナイト」です。

これはリサーチの結果、日本人女性は米国に比べて子育て比率が高いことや、職場での男尊女卑がいまだに根付いている現状などから「日本の女性はストレスのたまりやすい社会環境に置かれているのに安心してストレスを発散できる手段に恵まれていない」という事実が発見され、ストレスをためやすい日本の女性をターゲットに対して巣の自分をさらけ出せる場を作るという、正確なターゲットと狙いが定められ行われたものでした。

本格的なゾンビに襲われ、大声で叫ぶ爽快感によるストレス解消や自分自身を抑圧する毎日から脱却する仮装など、見事に狙いは的中し、USJのハロウィンホラーナイトは大成功。従来の5倍以上を上回る40万人もの集客に成功しました。実はこれにより日本でのハロウィンの知名度が上昇したといわれています!ハロウィーン・シーズンは、その後も毎年成長を重ね、2015年10月には東京ディズニーランドを超える175万人の集客で日本一の座を獲得しました。

たったこれだけで?と思う方もいらっしゃるかとは思いますが、当時は今ほどハロウィンというものが浸透していなかったため話題性を作るには十分でした。アトラクションやエリアを新設するでもないにも関わらず、お金をほとんどかけずにUSJの雰囲気を一変させた最高のアイデアと言えますね。これを機に大人の仮装や、大人のハロウィンという日本独自の文化も発展していくことにもなりました!

伸びしろは閑散期にあるとは限らないというのがポイントでしたが、お金をかけずに集客するだけでなく、日本中にハロウィンを流行らせるなんて…さすが敏腕マーケターです。

徹底的なターゲット層へのアプローチ

次に森岡さんが着目したのが、”ファミリー層”と”若年~大人層”この2つのターゲット層へのアプローチでした。

当時のUSJは大人向けのアトラクションやエリアが多く、ファミリー層をうまく取り入るとができていませんでした。テーマパークとしては致命的とも言えます。

そこでキッズ向けエリアとしてユニバーサルワンダーランドを新設!小さな子供がいても安心して楽しく遊べる場が誕生したのです。これによりファミリー層の入場者数を3割も増加させることに成功しました。

さらに、2012年にハリーポッターのエリアを新設すると明かされ大きなニュースになりましたが、同時に新エリアがオープンする2014年までの2年間の客足が滞る心配もありました。”今じゃなくても新しいエリアができてから行こうかな~”なんて、誰でも新しいエリアができてから行きたいと思ってしまいますよね。

そこでUSJは、ハリーポッターエリアが新設されるまでの間にも若年層~大人までがどうしても行きたいと思う何かを打ち出す必要がありました。

新エリア増設中のためあまりお金をかけずとも森岡さんが考案したのが、既存のジェットコースターを後ろ向きに走らせるというアイデア!

それが、今でこそ無くてはならないアトラクションとなった「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」です。USJで過去最大の待ち時間、最大訳560分(9時間20分)を記録したことでも有名なアトラクションです。ちなみに、テーマパークが大好きな私でもそんなに長い間並べる自信はありません…。

後ろ向きに走行することで絶叫アトラクションに新感覚の怖さが加わり、USJのメインターゲットともいえるアトラクション好きの若年~大人層に響いたのですね!

当時は期間限定アトラクションというのもあって、これ目当ての入場者が後を絶ちませんでした。あまりの人気に後々レギュラーアトラクションとしての継続が決定される程でした。

ただ既存のアトラクションに少し手を加えただけで集客を伸ばすというアイデアは、消費者を理解することで可能となったのです!

 

知恵と工夫に溢れた取り組み

これまで数々の改革を行い、成功させてきた森岡さんですが、そのアイデアは偶然生まれたものではありませんでした。

どのような考えの上で生まれた企画なのか、もう少しその考え方の部分について深堀りして見ていきたいと思います

ヒット企画に共通する考え方

先ほど「戦略あっての戦術」と述べさせていただきましたが、森岡さんはこれをもっとわかりやすく戦略が強いと正しい方向へ進む、戦術が強いと遠くまで飛べるという風に説明しています。

こう聞くと、確かにまずは強さよりも方向性を定めることが先だなと容易に想像ができますね!実は、森岡さんはUSJで行った改革すべてをこの考えのもとで行っているのです。

目的:達成すべき使命、何をゴールとするか?

目標:ターゲットは誰か?

戦略:何を売るか?

戦術:どう価値を表現するか?

そして、何より大切なのはこの順番で考えることです。森岡さんの思考を支えるマーケティングフレームワーク(マーケティングの課題に取り組むにあたって、その型に沿って考えていくと”整合性のある戦略と戦術”を生み出しやすくなる便利な道具のこと)は実に基本に忠実でした。

では、実際にいくつかの事例を見ていきたいと思います。

2011年夏、震災後の自粛ムード解消

目的:ガラガラの状態を回復したい
目標:自粛ムードにある人
戦略:関西から日本を元気にする
戦術:大人1人につき子供1人無料

一見”大人1人につき子供1人無料”というのはよく見られる安易な考えとも捉えられますが、震災後の自粛ムードが続く中テーマパークへ行くのはな…という人々に向けて”関西から日本を元気にする”というイメージに変えてあげることで莫大な効力を発揮しました。

さらに、この企画はなんと当時の大阪府知事である橋下徹知事から会見で発表されました。知事からの言葉となれば当然説得力は増しますよね!そしてその後すぐにスマイルキッズパスCMとして流すことで一気に入場者数が増加し、目的であるガラガラ状態を回復することに成功したのです。

単純に値引きしますよ、だと全く意味がないのです。この場合、関西から日本を元気にするんだという価値がポイントですね。

2011年12月のクリスマス

目的:クリスマスの集客
目標:小さい娘を持つお父さん
戦略:あなたのかわいい娘と過ごせるクリスマスはあと何回?
戦術:テレビCM(無邪気にかわいい笑顔+時折見せる大人っぽい表情)
世界一の光のツリー(電球の数がギネス)

これはテレビCMを用いてターゲットである小さい娘を持つお父さんに向けて、かなりストレートに感情を揺さぶるという戦術をとったケースになります。

ふと家でテレビを見ているときに目に入った、画面の中で無邪気に笑う女の子が時折見せる大人っぽい表情に、自分の娘と重ねてしまうお父さんはきっと多いと思います。

普段なかなか気付くことのできない当たり前の大切さに気付かせてくれる、素晴らしい切り口ですね!

2013年1,2月の閑散期

目的:1,2月の集客を140%増やす
目標:寒さを気にしない若者→コアなファンを持つオタク
戦略:コアなファンがいるコンテンツをクールジャパンとして打ち出す
戦術:進撃の巨人、エヴァンゲリオン、バイオハザード、きゃりーぱみゅぱみゅ

この時期は他のテーマパークでも特別なイベントがなくテーマパークの閑散期と言われる中、閑散期自体を無くしてしまおうという切り口から生まれた企画になります。

コアなファンは寒さよりも情熱が勝るという部分に対して訴求し、世界最高水準のエンターテインメントを提供することにより成功へと導きました。

順番に忠実に目的に対して適切な目標を定め、戦略に沿った戦術がとられていることがこの事例を見てもわかりますね。

 

一番大切なのは「相手の立場に立つこと」

ここまで、瀕死状態のUSJをどのようにしてV字回復させることが出来たのかについて、マーケティングの観点から敏腕マーケターである森岡さんの取り組みをメインに解説してきました。

目的→目標→戦略→戦術の順番に考えていくマーケティングフレームワークに基づく考え方で数々の企画を成功させ、見事にUSJをV字復活させることに成功しました。

そんな森岡さんが1番大事にし、心掛けてきたのは”相手の立場に立って考えること”です。どんなことを成し遂げるにも自分の中の常識を捨て、相手が本当に望んでいることは何か、悩んでいることは何かと常に相手の立場に立って考えることが重要なのです。

マーケティングにとっても非常に大切な考え方ですが、これは日常生活の中でも大切なことであると思います。

ぜひ今日から、自分の成し遂げたいことのためにまずは相手の立場に立って考え行動してくことを意識してみてください!

今年は、スーパーマリオなど任天堂のキャラクターとその世界観をテーマとした「SUPER NINTENDO WORLD」のエリアも新設され、現在新型コロナウイルスによる自粛ムードの中でも話題を呼んでいます。これからも次々と新しい体験を提供させてくれるであろうUSJには期待でしかありませんね!

この記事を読んで、

・マーケティングって面白い!
・USJが人気テーマパークである理由が分かった!

と、少しでも思っていただけたら嬉しいです。

このブログ内には、まだまだたくさんのマーケティングについての記事がありますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!

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