- 「タレントプールって何?」
- 「優秀な人材を獲得するにはどうしたらいいの?」
- 「タレントプールを導入するにはどうしたらいいの?」
という方に向けて今回は記事を作成しています。
米国の大手企業、マッキンゼー・アンド・カンパニーが『The War for Talent』で「タレントプール」という言葉を初めてつかい、人材獲得・育成が激化すると提唱してから約20年。
世界はマッキンゼーが指摘した通りの展開を迎えています。
そこで、あなたも『タレントプール』という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。
今回の記事では、人材獲得競争の激化でお悩みのあなたに、タレントプールが注目されるようになった背景から導入方法までをまとめて解説していきます。
タレントプールをうまく活用すれば、人材獲得競争の激化した現代でも、採用活動がスムーズにおこなえるようになるでしょう。
タレントプールとは
まずはタレントプールとはいったい何を表す言葉なのかについて解説していきます。
タレントプールの意味
タレントプールは、優秀な人材を意味する「タレント」と、蓄えることを意味する「プール」を組み合わせた言葉で、自社でも将来的に採用する可能性のある優秀な人材を中長期的に管理していくためデータベース化することを意味しています。
自社にとって、経験や実績などの条件の面でポテンシャルを秘めた「確保したい人材」とコンタクトを取り続け、常につながりを作っておく(データベース化しておく)、そして企業と求職者の双方にとって良いタイミングが訪れたときに採用を行う手法です。
なぜタレントプールが注目されるようになったのか
冒頭でも触れましたが、タレントプールという言葉が注目されるようになったのは、米国の経営コンサルティング大手企業のマッキンゼー・アンド・カンパニーが、2001年人材獲得・育成の調査報告書『The War for Talent』で「タレントプール」という言葉を使ったことがきっかけです。
この調査報告書では「やがて人材獲得や人材育成を企業が争って行う時代がやって来る」と予想しています。また「リーダー候補といった優れた人材の獲得や育成が、企業のこれからの成長の鍵になる」とも言及していました。
つまり「最適な人材を確保できない企業は成長が難しい」と20年前に警鐘を鳴らしていたのです。そんなマッキンゼーの予想通りに、少子高齢化は加速し、労働人口が減少、企業の人材獲得競争は激化する一方です。
そこで、マッキンゼーが提唱していた「タレントプール」という手法が、優秀な人材確保に有効な手法としてさらに注目されるようになりました。
タレントプ-ルのメリット
ここからはタレントプールのメリットについて解説していきます。
機会損失の解消
まず機会損失の解消がメリットに挙げられます。
例えば下記のようなケースです。
「採用基準を満たした応募者はAさんとBさんの2名いるが、採用枠は1名のみであり、両者を比較した結果Bさんを不採用に…。しかし、1か月後現職の社員が突然退職し、ポジションに空きが出てしまった…。」
「できることなら、あの時不採用にしてしまったBさんを雇用したい」こうした事態はビジネスの現場ではよくあるのではないでしょうか。
タレントプールは「あの時はタイミングが合わず不採用にしてしまった優秀な人材も、常に採用候補者として残しておきたい」といった願いをかなえる採用方法です。
例のような事態もタレントプールを導入すれば、急にポジションに空きが出るなどの不測の事態でも、Bさんにアプローチできます。
採用の効率化
タレントプールを形成することで採用の効率化にも期待できます。
新しく採用したあとに現職が辞めてしまうような不測の事態では、空いてしまったポジションにふさわしい人材をまた0から採用する必要があります。
しかし、タレントプールではあらかじめ採用基準を満たした人材をプールし、データベース化しておくことで一定の母集団が存在する状態から採用活動をはじめることが可能です。
そのため、選考ステップまでの時間を短縮でき採用の効率化につながります。
コストの削減
また、タレントプールで候補者をデータベース化し、母集団を形成しておくことはコストの削減にもつながります。
人手不足が発生する度に、大手求人webサイトや転職エージェントに急いで求人募集をかけている状態と比較すれば、手間や労力、費用の面でも、採用コストをいかに抑制できるかは言うまでもないでしょう。
ミスマッチの防止
さらにタレントプールを導入することは、ミスマッチの防止につながり、採用後の離職率の低下も見込めます。
不定期でもコンタクトを取り続けることは、候補者が企業の情報に触れることになり理解度が増します。継続的にやり取りすることでお互いの認識をすり合わせ、採用後の「こんなはずじゃなかった」を防止することができます。
タレントプール導入の4つの心得
ここからはタレントプール導入の4つの心得を解説していきます。
1.企業が求める人材をプールする
プールしていく人材は、惜しくも採用することができなかった人材、内定を辞退されてしまった人材だけではありません。FacebookやLinkedInなどのSNSやWantedlyなどのマッチングサービスを活用することで、効率的に母集団を集めることができます。
目的は、タレントプールの母集団を増やすことではなく、自社にマッチした優秀な人材をいつでも採用できるようにしておくことです。あくまでも採用基準を満たした上で、自社にマッチしそうな人材をプールすることが大切です。
2.プールした人材をデータベース化する
ここからは、マッチしそうな人材をどう管理していくかが問題となります。
FacebookやLinkedInなどSNSを活用すれば、データベースの構築や管理を行うことができます。LinkedInはそのままLinkedIn内で人材をプールすることができますが、Facebookではファンページを活用することで人材をデータベース化することができます。
また、タレントプールを活用した採用管理サービスを導入して、データベースを構築するといった手段もあります。
こうした採用管理サービスは、求職者からの接触もより手軽になっているものも多いので、「タレントプールを活用できる採用管理サービス一覧」の見出しで後述しております。
3.候補者にこまめにコンタクトをとる
人材をプールし、データベースを構築することができたら、候補者とコンタクトを取り続けることが大切です。
SNSやメールで情報発信するだけではなく、自社で交流会や勉強会を企画するなど候補者の関心を高めておく必要があります。
重要なのは候補者に「丁寧にメッセージをくれる企業」「自分の採用を検討してくれている企業」と感じさせることです。
「あなたに興味があります。あなたを採用したいと考えています。」という思いを伝え、関心を高めておくことが、候補者を逃がしにくくなるカギです。
4.タイミングを見極めて採用のアプローチをかける
ポジションに空きが出るなどで、採用活動に力を入れることが決まったら、データベース化した候補者に採用アプローチをかけていきます。
データベース化した候補者の中であらかじめ優先順位を決めておくとよりスムーズなアプローチが実現できるでしょう。そのためには定期的にデータベース化した候補者を整理することも大切です。
タレントプールを活用できる採用管理サービス一覧
では、ここからはタレントプールを活用できる採用管理サービスをご紹介します。
TlentCloud(タレントクラウド)
『TlentCloud』は日本初のタレントプールに特化した採用管理システムです。
求職者の管理・オファーに限らず、求職者の状況に合わせて最も良いタイミングで自動的にメールを送信できる機能や、求職者との個別チャット機能を備えた採用管理システムです。
スマホ対応採用サイトの構築機能もあるため、企業サイトとは別に求職者に向けた採用サイトを制作していない場合、非常に有効な採用管理システムサービスと言えます。
無料トライアルが15日間可能。有料プランは月額2万円~で、最大200人をデータベース化できます。
HRMOS(ハーモス)
『HARMOS』は、TVCMで有名な株式会社ビズリーチが運営している採用管理システムです。
『HRMOS』は、採用から入社後の活躍まで情報を一元化・可視化・することで、客観的なデータに基づいた人材活用を可能にするサービスです。
HRMOSの導入は、年間契約・年払い・月額換算:10万円(税抜)~です。企業規模や用途に合わせてそれぞれ料金やプランが用意されているため、利用開始はwebからのお問い合わせのみのとなっています。
CaLin(キャリン)
『CaLin』は、候補者が気軽に企業へ興味や関心を示すことができるサービスです。
企業側は、「つながる」ボタンを採用ページに追加するだけで簡単にタレントプールを始めることができます。
「応募」や「登録」といったボタンではない点、候補者としてはより手軽な意思表示に、企業としてはより多くの候補者を集めやすい工夫がされています。
無料トライアルプランの利用で、最大20人までデータベース化できます。こちらは無料トライアルプランでも現行の有料プランの全機能が使えます。
タレントプールの導入を考えていて、試しに採用管理システムを最大限利用してみたいという企業には、うってつけのサービスと言えるでしょう。
ただ、無料トライアルプランの場合、タレントプール登録人数が上限の20名を超えた場合、翌月末までにプランの変更が必要な点にお気を付けください。
Talentio Hire(タレントハイアー)
『Talentio Hire』は、採用プロセスを簡単に構築することに加えて、タレントプールのマネジメントも可能にした採用管理システムです。
Talento Hireは、無料トライアルプランがあり、月に最大50名まで候補者を登録できます。こちらもお試し期間としての利用にはもってこいのサービスと言えるでしょう。
しかし、無料トライアルプランは機能面では月額2万円(年間契約料金)のスタンダードプランと同様のものです。しかし、導入のサポート、CSVインポート機能、CSVエクスポート機能、API、媒体掲載などの機能がない点には注意すべきです。
キャリトレ
『キャリトレ』は、HRMOSと同じく株式会社ビズリーチが運営する、若年層に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。
キャリトレに登録している候補者の職務経歴書や行動データから、自社にマッチしそうな候補者をデータベースから選定し、オファーを送ることができます。
登録している候補者は、気になる企業があればボタン一つでアピールすることができる手軽さも評価されています。企業とマッチすれば、メッセージのやりとりが可能になります。
キャリトレはダイレクトリクルーティングサービスですが、タレントプールのツールとして導入するのも一つの策です。
キャリトレの導入は月額5万円~利用が可能です。
タレントプールの導入事例
では、ここからはタレントプールの導入に成功している企業の事例を紹介します。
DELL Inc.(デル)
DELL Inc.(デル)の場合、自社webサイトにタレントプールへの登録ボタンが設けられていて、将来の候補者として希望するポジションを選択、登録できるようになっています。
またFacebook、Twitter、LinkedInと連携した機能も搭載していて、求職者が友達に募集を紹介することもできます。
タレントプールが、リファラルリクルーティングやソーシャルリクルーティングといった機能と融合されている点が、DELL Inc.(デル)の大きな特徴です。
General Motoers Company(ゼネラルモーターズ)
米国の大手自動車メーカーであるGeneral Motors Company(ゼネラルモーターズ)も、タレントプールを導入して成功しています。
自社のキャリアサイト内に、タレントプールの登録ページを設けていて、名前や現在の所属などのプロフィールと職務経歴書を登録できるようになっています。また気軽な登録を促す文面が綴られていて手軽に登録できるよう工夫されています。
職務履歴書はファイルを直接アップロードするほかに、LinkedInとのアカウントやクラウドストレージと連携されています。登録の障壁となる要因を極力排除していて使いやすい仕様となっています。
優秀な人材を確保するにはタレントプールを導入すべし!
今回はタレントプールについて解説しました。ここで、タレントプール導入の4つの心得を振り返りましょう。
- 企業が求める人材をプールする
- プールした人材をデータベース化する
- 候補者にこまめにコンタクトをとる
- タイミングを見極めて採用のアプローチをかける
人材獲得競争の激化した現代、タレントプールは企業にとって画期的な手法なのではないでしょうか。
自社でSNSを用いてタレントプールを導入するのも手ですが、まずはご紹介した採用管理システムの無料トライアルプランを導入することをお勧めします。受け皿が完成しているため、手間や時間をかけずデータベースの構築までスムーズに行えるでしょう。