採用の教科書

採用面接の交通費は出すべき?支給基準や方法、実際の支給事例はこれを読めば解決

採用面接の交通費は出すべき?支給基準や方法、実際の支給事例はこれを読めば解決

「面接に来た応募者に対して、交通費は払ったほうがいいの?」
「交通費を払う場合、どんな基準で払えばいいのかわからない」

今回の記事はこんな疑問を持った方に向けて、交通費は払うべきか、基準はどう設けるのか、交通費支給の例について解説していきたいと思います。

学生をふくめた応募者を面接に呼ぶ際は、採用する企業側が面接に呼んでいるので、来てもらっている応募者に対して交通費は払うべきなのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、これといって決まりがあるわけではないので悩んでしまうところでしょう。

では面接の交通費についてさっそくみていきましょう。

面接の交通費は出すべき?

新幹線

まず結論から申し上げますと、面接の交通費は必ずしも出さなければいけないというものではありません。

各社によって決まったルールで面接の交通費を支給するかしないかを決定しています。そのため、1次面接から交通費を支給する会社もあれば、最終面接のみ交通費を支給するという会社もあります。

しかし、飛行機や新幹線を利用するような遠方からの応募者に対しては、2次面接以降であれば支給するということが多いようです。

ただ忘れてはならないのは、応募者側は「できれば交通費を支給してくれた方がありがたい」と思っているということです。

特に学生の場合は経済的に自立していない状態での就活のため、多額の負担がかかります。他の部分で魅力に差がない会社同士を比較した場合は、面接の交通費を支給してくれる会社のほうがよく見えてしまうのが現実です。

最近ではコロナの影響でWeb面接(Zoom面接)が一般的になっているので、直接会って面接をする段階ではないと判断した場合は、わざわざ交通費を払って対面でおこなう必要はないでしょう。

面接の交通費を支給する場合の基準

空港で休む男性

面接の交通費は支給する決まりがないので、支給しなくても問題はありません。

ですが、もし交通費を支給したいと考えているのであれば、「どうやって基準を決めればいいのだろう」と思いますよね。

そんな方のために、ここからは具体的な基準に関して例を挙げて解説していきたいと思います。以下の基準例を参考に、自社の採用活動予算に合わせて設定してみてください。

遠方からの応募者には支給する

1つ目は、遠方からの応募者には交通費を支給するという基準です。

応募の母数に対して近郊からの応募者数は割合的に多くなるでしょう。そのため近郊からの応募者一人ひとりに対して交通費を払っていると1次面接等ではかなりのコストにもなりかねません。

近郊であれば、各応募者の負担額も高額になることはないのであまり気にせず面接に来てくれる方が多いでしょう。そのため、負担額が大きくなる遠方からの応募者にのみ面接の交通費を払うというものです。

遠方の基準はまた考える必要がありますが、新幹線、飛行機、長距離バス等を利用する方が対象になるでしょう。

ただし忘れてはならないのが、前述しましたとおりWeb面接という選択肢もあるということです。遠方から来る応募者の負担面からみても、Webで完結できるのであればそのほうが良いかもしれません。

遠方からの応募者には交通費を払うというのも1つの基準ですが、選択肢としてWeb面接をすれば解決するというのも頭のかたすみに入れておいていただけると良いかと思います。

選考段階によって支給する

2つ目は、選考段階によって交通費を支給するという基準です。

全応募者に対して交通費を支給するのは困難だとしても「2次面接以降は支給する」など、選考の段階によって基準を設けておけば、「この会社は交通費をケチる」という悪い印象を払拭しつつ、採用コストを抑えることができます。

2次面接以降に進む応募者というのは、採用する企業から見れば採用の可能性があるということなので、優秀な人材に「交通費を支給されないから」というもったいない理由で面接を辞退されることも防げるでしょう。

新卒・中途など採用ポジションによって支給する

3つ目は、採用するポジションによって支給するか変えるというものです。

例えば、新卒採用の場合は、相手が学生なので交通費を支給し、中途採用の場合はある程度経済的に余裕があるとみて交通費を支給しないというような基準です。

また、中途採用でも将来の幹部候補となるような優秀な人材には交通費を支給するという基準も作れます。

お金で釣るわけではありませんが、これも「弊社はあなたが欲しいです」というアピールにつながります。そのため、基準はあくまで基準とし、臨機応変に対応するのが良いでしょう。

面接の交通費に関する注意点

注意

面接で交通費を支給するにあたり、注意していただきたいものがいくつかありますのでご紹介します。

多額の交通費支給にならないためのリスク回避

面接で交通費を支給することが決まり、基準も設けました。しかし、このまますべての応募者に対して正直に交通費を全額払っていたら、多額の採用コストがかかってしまったということにもなりかねません。

先ほど、応募の母数に対して近郊からの応募者が多くなると言いましたが、これはあくまでも傾向の話で、必ずしも近郊からの応募者が多くなるとは限りません。

求人広告に「面接交通費全額支給!」と記載していたために、かえって遠方からの応募者が増えてしまう可能性も否定できません。

そのようなリスクの事前対策として、求人広告には「面接交通費応相談」といった記載をすることで、交通費を払うことも示唆しつつ、応募者によって支給条件を変更することも可能です。

また、全額ではなく一律の支給額(一律1,000円支給等)にすれば、予想される応募者数と予算をあらかじめ設定した状態で求人募集をすることも可能です。

知らずにやられる面接交通費詐欺

怪しい男

面接交通費詐欺というものをご存じですか?

簡単に説明すると、面接自体はどうでもよく、交通費がかからない方法で面接を受けに来て、交通費だけもらって帰ることを面接交通費詐欺といいます。

近郊からの場合は1,000~2,000円程度で済むかもしれませんが、新幹線移動や宿泊を伴う場合は注意が必要です。

例えば、昨日Aさんが遠方から自社に面接を受けに来たとします。Aさんは新幹線で来たので交通費が往復で30,000円かかりました。そのためAさんには30,000円を支給しました。

しかし、Aさんは昨日の面接の後、B社の面接にも行っていました。AさんはB社でも同様に交通費30,000円を支給されました。

もうお分かりですか?

つまりAさんは交通費30,000円を浮かせて30,000円を手に入れたのです。もちろんこの後の面接などには来ないでしょう。

面接交通費詐欺の怖いところは、こちらでは把握できないということです。そのため遠方からの応募者の面接交通費詐欺を警戒する場合はこちらから出向いて面接をするか、Web面接にするかという対処法があります。

面接交通費詐欺をする人は面接をしたいわけではないので、こちらがわざわざ足を運ぶと言えば目的を達成できなくなるので辞退することでしょう。

ただし一番怖いのは、わざわざ足を運んだのに面接をドタキャンされることです。遠方からの面接交通費詐欺を恐れる場合は、その応募者が信頼できるまではWeb面接をするのが良いでしょう。

面接の交通費を支給する方法

面接で交通費を支給する場合は、以下のような手順でおこないましょう。あくまで例ですのでご参考までに。

1.求人広告に記載
2.請求書(フォーマット)を送りルートや金額を書いてもらう
3.面接で来社した際に請求書と領収書の内容を確認
4.後日振り込み

まず、面接で交通費を支給する際は求人広告に記載しておくとよいでしょう。せっかく優秀な人材が自社に興味を持ってくれても、交通費が原因で応募を断念されては大きな機会損失となります。

次に、事前に請求書(フォーマット)をメールで送り、ルートや金額、口座番号等の情報を記載して返送してもらいましょう。

エクセル画像

当日にこれをやってしまうと面接以外に時間がかかってしまうので事前に済ませておく方が良いです。

面接当日には、実際にかかった金額を確認するために領収書を確認します。この時、往復分の領収書を持ってきてもらえるとお互いに楽です。弊社の場合、高速バスを利用する学生には、予約内容が記載された予約メールのデータ等を提出してもらうこともあります。

もしそれが不可能な場合は、あとから領収書を写真やスキャンデータで送ってもらうこともできます。

領収書に問題がなければ、後日経理を通して、応募者からいただいた口座に振り込みをします。

弊社の面接交通費支給の例

では、最後に弊社での面接の交通費支給事例に関して、新卒と中途採用それぞれに分けてご紹介します。

新卒採用面接の場合

まず、新卒選考に関しては、弊社では面接をおこなっていません。話がややこしくなってしまい申し訳ありません…

ただし弊社の場合は、合宿選考という選考(一般的には2~3次面接あたりに該当)があるのですが、その場合からは宿泊費を全学生に支給します。実際は支給という形ではなく、こちらがあらかじめ予約しておいた指定のホテルに泊まっていただきます。

宿泊費に加えて遠方の方には交通費も支給します。遠方の定義としては、新幹線、飛行機、長距離バス等を利用する方としています。

交通費の支給方法に関しては、すでにお伝えしたような流れでおこなっています。

中途採用面接の場合

次に中途ですが、弊社では中途採用面接での交通費は支給しておりません。

ただし、採用が難しい職種(Webデザイナー等の経験者母数が限られる職種)に関しては、「交通費を出すのでぜひ会いましょう!」とスカウトメール・オファーを出すこともありますし、こちらから出向くこともあります。

交通費が出ない面接を辞退する応募者は志望度が低い

最後に、まとめです。

  • 交通費は必ずしも出す必要はない
  • 出す場合は、距離、選考段階、採用ポジションによって支給基準を設ける
  • 多額の交通費支給にならないように支給方法や面接交通費詐欺には注意する

今回はこのようなことをお話ししてきましたが、交通費が出ないからという理由で面接を辞退する応募者は、志望度が低いという可能性も視野に入れておくと良いかもしれません。

もちろん人によっては金銭的に余裕がない学生だったり、あきらかに高額な遠方からの交通費や宿泊料等は払うのが厳しいので、一概には志望度が低いとは言えませんが、自分が本当に入りたい会社や「この会社でなら成長できる!」という志望度が高い方であれば、多少の交通費など気にしないでしょう。

私自身も、学生のころは半年間のアルバイト型の長期インターンシップに参加していましたが、昇格するまで交通費は1,200円かかるところを一律500円しかもらえていませんでした。しかし、自分の経験になればとその700円は投資として払っていました。

すべての方がそうとは言えませんが、交通費を払わなくても、応募してくれる方はいますし、「交通費が支給されなくても応募したい!」と思ってもらえる会社になれればもっと採用に強くなるでしょう。

そういったことも含めて面接の交通費を支給する基準を考えてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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