採用の教科書

採用基準を下げると社員は辞めていく?その前に出来る対処法を解説

採用基準を下げると社員は辞めていく?その前に出来る対処法を解説

「うちの採用基準って高すぎるのかな?」とお考えの方。「採用したい人数よりあまり人が集まらない」「人数は集まるけど欲しい人材に限って応募して来ない。」こんな悩みを抱えている企業は少なくないでしょう。

このような悩みが生まれると真っ先に思いつくのは、「採用基準を下げる」という方法でしょう。

もしかして御社でも、今ちょうど採用基準を下げることを検討している最中ではありませんか?もしそうなのであれば、採用基準を下げることはおすすめしません。なぜなら、採用基準を下げることにはいくつかのデメリットがあるからです。

今回の記事では、採用基準を下げた時に起こり得るデメリットとその前に出来る工夫の仕方を解説します。

採用基準を下げても良いという条件は1つしかない

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採用活動をするには理由がありますよね。「あるポジションの人材が辞めてしまったため、その補充としての採用活動。」「新卒の学生を取り始めたいという理由での採用活動。」など理由は様々です。

理由は違えど、採用した人材にはこうなって欲しい、社内でこういった活躍、ポジションについて欲しいという思いがあって採用活動をするでしょう。その際、よっぽど即戦力になる人材を確保できない限り、期待するパフォーマンスを発揮するまである程度の育成期間が自然と必要になってきます。

もし、その育成制度が完璧に整っており、少しくらい基準を下回る人材が入社しても問題が無い。という場合であれば、採用基準を下げることができます。つまり採用基準を下げることが出来る唯一の条件は、育成制度が完璧であることです。

とは言っても、完璧な育成制度を整えるというのはとても大変ですし、その分育成期間が本来よりも大幅に必要になりますので、悪い影響をもたらすことも考えられます。

採用基準を下げると生まれるデメリット

悲しむ男性

では、採用基準を下げた際に考えられるデメリットを解説していきます。

教育とマネジメントの負荷が大きくなる

先ほど、「育成制度が完璧に整っており、少しくらい基準を下回る人材が入社しても問題が無い。という場合であれば、採用基準を下げることができる」とお伝えしましたが、これにはデメリットがあります。

いくら育成制度が整っていたとしても、育成者は必要になるでしょう。育成期間が長くなればなるほど、戦力になるまで時間がかかりますし、育成者が本来やるべき仕事にも遅れが出ます。

本来採用したかった基準までその人材を育てる時間と資金に余裕があれば問題ないかもしれませんが、もしそのような余裕がないのであれば、簡単に採用基準を下げることはできないはずです。

採用した人材がすぐに辞めてしまう

もし、人手不足を解消するために採用基準を下げ、急いで人材を確保しようとした場合どのようなことが起こる可能性があるでしょうか。

それは、ミスマッチです。

いくら人手が足りないからと言っても、誰でも良いわけではないですよね。その点に関しては、慎重に考えるべきです。今人手不足を解消できても、数か月後にまた同じ状況に陥ってしまえば、さらに採用コストがかかるなど、デメリットは多くなります。

採用活動のゴールは、人を採用することではなく、採用した人材が社内で活躍することだということを肝に銘じておきましょう。

既存顧客からの信頼度が落ちる

これは職種にもよりますが、B to BでもB to Cでも起こりうることです。

質の低い人材を採用し、もしその人材のパフォーマンスが低かった場合、取引先企業や店のお客様からの評価が落ちる可能性もあります。

さらに口コミでその評判が広がる可能性もあります。一度定着したイメージを払拭することは非常に難しいです。

求めていない人材の対応に追われる

もしかしたら、採用基準を下げることで、自社への応募件数は増えるかもしれません。条件が優しくなれば、「自分も入社できるかもしれない」と考える求職者が増えるのは自然なことです。

しかし、本当に求めていない人材が多数応募して来たらどうでしょうか。

始めは、「今まであまり人が応募してこなかったうちにこんなに多くの応募が来てるぞ!」と嬉しくなるでしょう。ですが、ふたを開けてみると、実際は自社に合わない人材ばかりが集まる可能性があります。

そうなった際、応募者への連絡対応がとても大変になります。まずは面接をせず書類選考だけをするにしても、書類選考を通過できなかった方へのメールをたくさん送らなくてはいけません。

質の低い人材を集めたところで、あなたの業務が増え、結果欲しい人材の確保ができない。ということにもなりかねないのです。

採用基準を下げないために出来る工夫

会議をする様子

では、採用基準を下げないためにはどうすれば良いのでしょうか。

人が欲しくなる前から探しておく

採用活動をする際に、「このポジションの人が欲しくなったから求人媒体に広告を出そう。」という風に採用している場合、本当に必要な時に欲しい人材を採用することはできません。もちろん、採用力があって、広告を出すとすぐに人が応募してくるような人気企業は別です。

宣伝をしてもすぐに人が集まらないような場合、人が足りなくなる前から募集をしておくのです。

常に募集をかけ続ける必要はありませんが、実際に人手が足りなくなってから募集するのではなく、人手が足りなくなりそうだと思った時点で次の人材を探し始めるのです。

採用基準を見直す

採用基準を下げると、デメリットがありますが、採用基準を見直すことは重要です。「自社に本当に必要な採用基準になっているか。」「不必要な採用基準を詰め込み過ぎて、高すぎる採用基準になっていないか。」を見直しましょう。採用基準が多過ぎることで、その条件に当てはまる求職者は自然と減ります。

ただやみくもに基準を下げるのではなく、正しく基準を調整することで本当に必要な人材を最低限のハードルで採用することが出来るでしょう。

具体的な採用基準の考え方は以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:デキる人事の思考術!新卒選考で本当に見るべき採用基準の考え方

採用基準は下げてはいけない

以上が採用基準を下げた時に生まれる可能性があるデメリットとその前に出来る工夫です。

いくら人数が足りない、現場が回せないという理由があったとしても、簡単に採用基準を下げることはあまりおすすめできません。理由は前述したようなデメリットがあるからです。

採用の目的は人数合わせではありません。採用をした人材が、社内で活躍することです。簡単に採用基準を下げて採用をしても、その後の会社全体に悪い影響をもたらすことになります。

ですので、採用基準を下げるのではなく「この人となら一緒に働きたい。」「この人ならきっと自社で活躍してくれる。」そういった人材を採用しましょう。

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