採用を成功させる方法はいくつかありますが、その中には「採用ブランディング」という方法があります。
今回は、多くの中小企業が意外とやっていない採用ブランディングについて、初歩的な知識やメリット、取り入れる方法などについて詳しく解説します。
「採用ブランディングを取り入れたいけどいまいちどうしたらいいか分からない」「そもそも採用ブランディングというものを知りたい」などと思っている方は必見です。
採用において重要な要素となる採用ブランディングに関して詳しく知り、ぜひ御社の採用に活かしていただければ幸いです。
そもそも採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、採用活動の中で自社をブランド化し、求職者をファン化する手法のことを指します。
ブランディング自体の意味は、
「ブランド」というのは、簡単に言えばある商品を別の(類似した)商品から区別するための一連の要素です。商品のデザインやシンボルマーク、商標、名称、キャッチフレーズ、記号など、様々な要素が組み合わさってブランドを形作ります。そして、そのような「ブランド」を消費者に認知させ、市場における自社(商品)のポジションを明確化するのが「ブランディング」という活動です。分かりやすく言うと、「〇〇といえばあの商品」「このシンボルマークはあのサービス」…といった意識をターゲット市場に浸透させるのがブランディングという活動の目的です。
となっています。つまり、このブランディングを採用に取り入れることが採用ブランディングになります。
ここで勘違いしないでいただきたいのは、ブランディング対象が自社の商品やサービスではないという事です。採用ブランディングは会社自体をブランディングすることを言います。
採用ブランディングの意味・目的
採用ブランディングは自社をブランド化することだと言いましたが、それは何のためにおこなう必要があるのでしょうか。それは、「自社が採用したい人材を集め、採用するため」です。
いくら「かっこいい企業」というイメージがあっても、「入社したい」と思わせなければ採用ブランディングをする意味はありません。
中小企業だからこそ採用ブランディングは必須
実はこの採用ブランディングというのは、広告費や知名度がある大手企業ではなく、採用力が小さい中小企業の方が向いています。というより、中小企業こそ取り入れるべき必須戦略なのです。
大手企業には間違ったものも含めてある一定のイメージが定着しており、それに憧れて求職者が応募することがあります。しかし、比較的知名度が低い中小企業は良い意味でも悪い意味でもイメージが固まっていません。そのため、採用ブランディングをおこなうことで求職者のイメージをこちら側で作り出すことが出来るのです。
自社が求める人材に響く採用ブランディングが出来れば、応募数や採用の質が自然と上がっていきます。
採用ブランディングのメリット
では採用ブランディングを取り入れるメリットについて見ていきましょう。
応募者数の増加が狙える
上手く採用ブランディングを取り入れることで、応募者数が増加します。
例えば、マイナビ・リクナビでの求人掲載に関しても、無名の中小企業同士であれば、採用ブランディングをしているかどうかで興味を持つ応募者数が変わります。
また、大手企業であれば、多くの費用を投じて求人サイトで上位表示させることが出来ますが、中小企業が求人サイトで大手企業相手に上位表示で張り合うのはあまり良い戦い方ではありません。
もし大手企業よりも上位表示することが出来たとしても、見てもらえなければ意味がないからです。そのため採用ブランディングをおこなうのです。
採用担当者が求職者を引き付けやすくなる
採用担当者が、自社の魅力を理解していない、はたまた感じていないというのは論外ですが、採用ブランディングをすることで、求職者に伝える魅力や内容が明確になり、採用担当者が求職者に会社をアピールしやすくなります。
自社の魅力に自信が無い、どうやって求職者を惹きつければいいか分からない。ということが無くなるでしょう。
さらに、求職者に伝えるべき内容がいつ誰が話してもブレなくなるので、選考フローの中でも「前と言っていることが違う」などということが無くなるでしょう。
ミスマッチを減らせる
採用ブランディングは、入社前だけではなく、入社後にも良い効果を発揮します。それは離職率の低下が期待できることです。
採用ブランディングによって応募してきた人材は、会社のイメージや実態を理解しやすいので、ミスマッチが減らせます。
そのため、入社後のギャップを感じにくく離職が減らせるという事です。
採用コストの削減
採用ブランディングをおこなうことで、それが求職者の中で口コミとして広がったり、企業の良いイメージが作られていきます。そうなれば、求職者に興味を持ってもらいやすくなり、広告費をかけなくても人が集まるようになるでしょう。
また、前述したように離職率を下げることも出来るので、何度も採用するということが無くなり、結果的にコスト削減に繋がります。
他社との差別化ができる
自社のイメージが出来ているあなたは「他社とうちはここが違う」と明確な説明が出来るかもしれませんが、求職者からすると各社の明確な違いは分かりにくい、または企業側が違いを明確に説明できていないということがあります。採用ブランディングではそのようなことも無くし、競合との差別化が出来ます。
競合他社との明確な違いを提示できれば、求職者はそれによって会社を良く知ることができ、「よくわからないからとりあえず保留」から「こういう会社ならとりあえず応募しよう」に変化します。
もし、採用ブランディングをしたことによって、本来応募してきたかもしれない人材を逃してしまっても大丈夫です。
採用ブランディングは自社に合わない人材を選別することにも長けており、自社のそういったイメージを見て合わないと求職者側で判断してくれたということになるので、マッチ度が低い人材を採用してしまうことを避けられます。
採用ブランディングを取り入れる方法・やり方
ここからは、採用ブランディングを実際に取り入れるやり方に関して解説していきます。
1.どんな人材を集めたいのかを明確にする(ペルソナ設計)
初めにターゲット(どんな人材を集めたいのか)を設定します。
どんな人材を採用したいのか、ということを明確にしておくことで採用戦略やキャッチコピーなど採用全体的に意志決定がしやすくなります。
優秀な人材を採用したいとしても、「自社で言う優秀な人材はどんな人材か?」ということ考えるなど、ターゲットは具体的にすることが大切です。
また、ペルソナ設計も効果的なので取り入れてみると良いでしょう。
関連記事:【ペルソナ】理想の人材を採用出来る、マーケティング手法伝授します
2.採用に関する自社イメージを考える
次に、求職者に対してどのような企業イメージ(自社は○○な企業である等)を持ってもらいたいかを考えます。
ただ企業のイメージを向上するのではなく、自社が求める求職者に対してブランディングしなければ何も意味がありません。
例として、ディズニーには日本中の人が「夢の国」という良いイメージを持っていますが、ディズニーに行っても入社したいとはなりません。採用ブランディングで重要なのは、綺麗なイメージを作ることではなく、ターゲットに刺さるイメージを作りブランディングすることです。
3.発信するメディア、コンテンツを考えて実際にブランディングする
ターゲットと伝えるイメージが決定したら、どのようなメディアでコンテンツを発信するか考えます。具体的なメディアとコンテンツは以下のようなものになります。
メディア例
- 自社の採用サイト、ブログ
- 会社説明会
- インターン
- その他イベント
- 求人媒体
- SNS(Twitter、Instagram、YouTube、LINE等)
各メディアに関しては以下の記事をご覧ください。
▼関連記事▼
会社説明会:【学生の本音・やり方】会社説明会で本当に知りたいことを現役学生が教えます
SNS:【SNSで求人】ソーシャルリクルーティングのやり方や事例はこれだけ見れば完璧です
コンテンツ例
- キャッチコピー
- 動画
- 写真
- マンガ
自社のターゲットに伝えたいイメージを伝えるには、どのメディアを通してどんなコンテンツを発信すれば良いかを考えることが大切です。
また、採用サイト等はホームページ制作会社に依頼して企業イメージが伝わりやすいものを作るのも有効的でしょう。
採用ブランディングの事例
最後に採用ブランディングの事例をご紹介します。
弊社の採用ブランディング例
弊社でも採用ブランディングをとりいれています。以下の画像をご覧ください。
こちらは弊社が学生に向けて実際にネット上で掲載していたもので、マーベル風の画像を作り学生の興味を上手く引くことに成功しています。
画像に出てくる人物は全て社員です。これを見れば、会社にどんな人がいるのかも分かりますし、企業イメージも付きやすくなります(弊社の事例として紹介したものはほんの一部になります)。
採用ブランディング事業をおこなうTOMORROWGATE
もう1つご紹介するのは、トゥモローゲート株式会社です。
まだ若い会社ですが、自社での新卒採用において採用ブランディングに成功し、今では採用ブランディング事業をおこなっています。
あえてブラック企業を彷彿とさせるようなイメージを作り、学生が「なんだこれ?」と興味を持ってしまうような仕掛けをしてあります。
写真では伝わらないようなサイト上のかっこよさがあるので、気になる方は公式サイトをご覧ください。
中小企業こそ採用ブランディングで差別化を!
今回は採用ブランディングに関してお伝えしてきましたが、採用ブランディングは中小企業こそ向いており、今すぐ取り入れるべき戦略です。
自社で採用したい人材が集まらない。入社後にすぐ辞めてしまう。そんな悩みをかかえているのであれば、ぜひ採用ブランディングを取り入れ、自社が求める人材を採用してください。
これからもっと採用活動を本格化していこうとお考えの場合は、基礎的な「ポテンシャル採用」についてもよく理解して採用活動に取り組みましょう。
関連記事:ポテンシャル採用を始める中小企業必見!メリットデメリット、注意点を解説