採用の教科書

会社を伸ばし早期離職を防げる採用基準の作り方を5ステップで簡単解説

会社を伸ばし早期離職を防げる採用基準の作り方を5ステップで簡単解説
  • 正しい採用基準の作り方を知って早期離職を防ぎたい
  • 自社の採用基準を見直すために作り方から復習したい
  • 経営者自らが勘で判断しているため適切な採用基準を設けたい

このような方に向けて記事を書いています。

採用基準を世間基準で作ってしまい、自社に合った人材を採用できない。また、自社の採用基準が上手く作れていないことに気づいていないことで本当に優秀な人材を逃してしまう企業は多いです。

そこでこの記事では、各社で再現可能な採用基準の作り方や注意点、採用基準の作り方を間違えるとどうなってしまうのかについて解説していきます。

この記事を読めば、採用基準を明確にできるだけではなく、自社に合った優秀な人材を採用するためのノウハウが分かります。自社に合う人材を採用することは売上向上や早期離職防止にもつながります。

そもそも採用基準とは

採用基準のイメージ画像

採用基準とは、選考をする際に自社にあった人材を採用するための評価の基準を指します。

採用担当者は複数名いることもあるので、採用基準が定まっていないと各担当者の主観やその時の見え方によって結果が変わってしまうことがあります。

採用基準が無い場合、求職者を正しく見ることが出来ないだけではなく、自社にマッチした優秀な人材を逃すことにもつながります。

採用基準の作り方【基本】

ホワイトボードに字を書く人

では早速採用基準の作り方について具体的に解説していきます。

採用基準を作る際は以下の流れで作ります。

  1. 採用の目的を明確にする
  2. 求める人物像を定義する
  3. 人材要件を分類して考える
  4. 不要要件は採用基準から外す
  5. 選考フローごとの基準を設定する

では具体的に1つずつ説明していきます。

1.採用の目的を明確にする

まず、なぜ今回人材を募集したいのかという目的を明確にします。

  • 新規事業立ち上げの人員を確保するため
  • 将来の幹部候補を入社させるため

など採用する目的によって基準の作り方は変わりますので、あらかじめ目的をはっきりさせておきましょう。

採用の目的をはっきりさせておくことで、この後決める人材要件にも優先順位をつけやすくなります。

2.求める人物像を定義する

採用基準を作る際は求める人物像も定義しておく必要があります。求める人物像を考える際は、その人が入社する背景なども踏まえて細かく設定しておくとよいです。

また、経営陣、部門長、人事など複数人で意向を合わせながら理想の人物を考えるとよいでしょう。

3.人材要件を分類して考える

  • TOEICは何点以上欲しい
  • コミュニケーション能力は高い方がいい
  • 地頭は良い方がいい
  • 自社が第一志望の人がいい

人材要件を挙げていくと様々なものが出てくるでしょうが、あまりに多くの要件を挙げ過ぎると、神のような人材しか出来あがりません。

そんな人はなかなかいませんし、いたとしても採用するのは非常に難しいでしょう。そこで、人材要件を3つに分類し、何が必要で何が不要なのかを考えます。

人材要件の3分類

  1. 絶対要件=絶対にないといけない要件
  2. 希望要件=持っていたら嬉しいが、入社前はいらない要件
  3. 不要要件=無くても問題ない要件

3つに人材要件を分類し、最低限何が必要で何が不要かを考えます。

絶対要件

絶対要件は、入社にあたって必要になる要件です。これが無いと「入社後にミスマッチする」「仕事にならない」という要件を考えます。

もしこの要件を満たさない場合は、お互いに不幸になるので落としてしまっても仕方がないでしょう。

希望要件

希望要件は、自社で働く際にあったら良いが、今は必要ないという要件です。今後持っていてくれるとありがたいが、入社後に教育で何とかなるという要件はここに属します。

希望要件を満たさないからといって、その応募者を落としてはいけません。希望条件は自社で活躍している優秀な社員の特徴をよく見ると分かってきます。

要件を挙げると、この希望要件が多く出がちになります。

採用基準に悩む面接官の様子

といったように、良い条件ではあるものの、挙げ過ぎるとキリがありません。たくさんの要件が出たときは、これは絶対要件か、希望要件かをしっかりと判断する必要があります。

不要要件

不要要件は、自社で働く際に不要な要件で、持っていると市場価値は上がるが自社では必要としない要件がこれにあたります。

不要要件の例

  • 宅建を持っているが、業種的に関係が無い
  • とても速いタッチタイピングが出来るが、業務上パソコンをほぼ使用しない

このような場合はいくら能力が高くても不要要件になります。

人材要件の具体的な考え方

人材要件は3つに分けて考えることはお伝えしましたが、具体的にどのように要件を考えればよいかということについて説明します。

人材要件を考える際は

  1. 優秀な社員の特徴から考える
  2. 自社の事業に必要な人材を逆算して考える

この方法が有効的です。

まず、自社の優秀な社員に話を聞き、「日ごろどんなことを意識しているのか」「今の能力は入社前からあったのか、それともどんな仕事の中で身につけたのか」ということを洗い出します。

本人の口からだけではなく、同僚や上司からの意見も聞くと客観的な特徴もあげられます。

ただし、「コミュニケーション能力が高い人」という風にあいまいな要件を導き出すのではなく、コミュニケーション能力が高いとはどういうことかまで深堀します。

「相手と打ち解けるのが早い」
「取引先に秘密を教えてもらえるほど親密な関係になれる」

同じコミュニケーション能力でも細かく見ると何が必要なのかは変わってきます。

次に、事業に必要な人材を逆算して考えます。その際は、自社の事業の中で活きている強みを考えましょう。

例えば、「短時間で相手と打ち解けあい、必要な情報を引き出すことができる能力」があることで他社より優れた売上をあげているとすれば、その能力を要件に入れた方が良いと判断できます。

事業から要件を考える際は、経営層や現場の社員と一緒に考えるのが良いでしょう。

4.不要要件は採用基準から外す

不要要件は、入社後にも教育次第で獲得できる要件になるため、採用基準からは外しましょう。例えば、コミュニケーション能力は後からでも教育できる能力の一つなので採用基準から外しても良いでしょう。

今必要で今後獲得することは不可能なのか、それともあとから獲得できるのか。この違いは大きいので、優秀な人材を逃さないためにもしっかりと判断する必要があります。

この内容に関して以下の記事でさらに詳しく解説しています。

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5.選考フローごとの基準を設定する

要件を決めることができたら、その要件をどの選考フローで判断するか考えます。

と言いますのも、複数の要件を一度の面接で完璧に見極めるのは非常に厳しいからです。そのため、1次選考ではこの要件、2次選考ではこの要件といったようにどの選考段階で何を見るのかを設定しておくということです。

試験方法によって変えても良いですし、選考フローが進むにつれて難しい要件を見るという方法でも良いです。

採用基準の作り方【注意点】

悩む男性のシルエット

採用基準の作り方が分かったところで、ここからは採用基準を作る際の注意点に関して解説していきます。

採用基準は簡単に下げてはいけない

結論から言いますと、育成環境が完璧ではない限り採用基準は簡単に下げてはいけないということです。

教育出来る環境が整っていないにも関わらず採用基準を下げると、「教育とマネジメントの負荷が大きくなる」などの問題が発生します。

以下の記事では、採用基準を下げると起こる問題と、解決方法をまとめていますので合わせてご覧ください。

採用基準を下げると社員は辞めていく?その前に出来る対処法を解説
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採用基準に入れてはいけないものがある

実は、法律的に採用基準には入れてはいけない項目があることをご存知でしょうか。具体的には以下のようなもので採否を判断してはいけません。

  • 年齢
  • 性別
  • 身体(容姿、身長、体重、体力、障害、病気)
  • 転居を伴う転勤に応じることができるか

直接的な項目ではないですが、採用する人数に対する男女比をあらかじめ決定してその人数を採用することも禁止されています。

参考サイト(厚生労働省のページに飛びます)
その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?
男女均等な採用選考ルール

また、就職差別につながる「採用選考時に配慮すべき事項」というものもあります。

面接の際に聞いてしまわないように、以下の記事を参考に準備しておきましょう。

法律違反や就職差別を防げ!面接で聞いてはいけないNG質問集と対策
法律違反や就職差別を防げ!面接で聞いてはいけないNG質問集と対策「尊敬する人物は誰ですか?」 「結婚後も働き続けてくれますか?」 「今お住いのところが本籍地ですか?」 あなたが面接官...

採用基準の作り方を間違えると起こる問題

落ち込む男性

ここまで採用基準の作り方と注意点を解説してきましたが、採用基準の作り方を間違えるとどのような問題が起こるかを解説します。

採用基準を作る際は人事、採用担当だけではなく、経営者や現場社員の理解を得ることも重要になります。

そのため、その方々を説得するときにも後述する内容を挙げていただければと思います。

早期離職される可能性が上がる(ミスマッチ)

採用基準がズレていたりすると、シンプルにミスマッチが起こり、それにより早めに転職されてしまうということが起きます。

一時的に人員補助が出来たとしても、採用基準を整えなければミスマッチによって人が辞めていくので、またすぐに採用活動をしなければならない状況になります。

人事面接は通過するが役員面接で落ちる求職者が増える

人事と経営層が描く欲しい人材がズレていた場合、人事面接までは通過しても、役員面接で「なにか違う」と判断されてしまうこともあります。

採用基準の作り方で説明しましたが、要件は経営層とも相談して練り上げることが非常に重要になってきます。

会社として求める人材を明確にしておきましょう。

売上が落ちる

自社に適さない人材が入社してしまうと、入社後に活躍しない・できないといった問題が起こります。それにより、結果的に会社全体の売上が落ちるということにつながります。

こうなってしまうとお互いに不幸になってしまうので、事前に防ぎたいものです。

採用基準を3つの要件から考え、採用後の問題を未然に防ごう

最後にまとめます。採用基準を作る際は

  1. 採用の目的を明確にする
  2. 人材要件を分類して考える
  3. 不要要件は採用基準から外す
  4. 選考フローごとの基準を設定する

という流れで考えます。また人材要件は、

人材要件の3分類

  1. 絶対要件=絶対にないといけない要件
  2. 希望要件=持っていたら嬉しいが、入社前はいらない要件
  3. 不要要件=無くても問題ない要件

の3つを軸に自社に合ったものを考えます。採用基準を適切に作ることが出来なければ、様々な問題が発生し、「ただ人が採用できなくなるだけ」では収まらなくなります。

採用基準を作る際は、今後の会社の発展につながるかどうかを考えて作るようにしましょう。

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