終身雇用が崩壊した今、「転職」は当たり前になってきています。しかし経営者や採用担当者にとっては耳が痛い話です。
2人に1人が転職する時代とはいえ「転職=裏切り者」「転職は悪」と思っている方も少なくありません。
今回はAmazonランキング1位を獲得した北野唯我著『転職の思考法』を基に、「会社に転職したい社員がいることは、実は会社にメリットをもたらしている可能性がある」というお話をしたいと思います。
まず転職を考える人は何が理由で転職したいと考えるでしょうか?
- 心身の健康を崩す
- ご家庭の事情
- 人間関係
- キャリアや給与アップのため
このような理由が考えられるでしょう。
会社にとってメリットを生むのはズバリ、キャリアや給与アップのために転職を考えている人です。
会社のリソースで成長するだけしてさっさと他社へ移るのか!と思った方是非この言葉を読んでみてください。本書のあとがきにも載っていた元 Google米国本社 副社長兼Google日本法人代表取締役 村上憲郎氏の言葉です。
最終的に転職するような優秀なやつは、
在籍しているときは、必死になって
会社という『みこし』を担いでいるわけでしょ。
辞めるまではさ、一生懸命、会社を担いでくれる人材なのよ。でね、反対に、
一生この会社にしがみつくぞ、みたいなやつはさ、
おみこし担いでいるふりして、ぶら下がっているわけよ。人事部が大事にしなきゃいけないのは、
ぶら下がっているやつではなくて、
もしかすると3年後にいなくなるかもしれないけど、
今必死に担いでるやつなんだよ。ほんとに担いでくれるやつだったら
数年勤めてくれたら御の字じゃないの?
そういうふうに人事部も考え方を変えないと。
いかがでしょうか?
前向きな理由で転職を考える人材は、必ずしも「悪」ではないことがお分かりいただけたと思います。
「担いでいるふりして、ぶら下がっているやつ」を作らないために企業側がやるべきことはたったひとつ。転職をタブー扱いしない、という事です。
全ての会社が「社員に辞めてほしくない」と思っているでしょうから矛盾しているようにも感じますが、会社が転職を悪とした瞬間、社員の意識は社内に向かいます。
今の会社という枠に囚われなくても、本当は自分のやりたい事を出来る未来も対価としてお給料がたくさん貰える未来も世の中には存在するのに社内でどう生き残るかいかに出世していくか、ということに意識が傾きどんどん不毛な争いが社内で起こります。
そのようになった会社の行く末はご想像に難くないでしょう。
転職をタブー視するというのは社員個人の人生を食い潰すことであり、市場価値の低い人を生み出すことであり、自社の首を自分で絞めていることです。3年で辞めてしまうかもしれない人材でも、社員である限り一生懸命働いてもらう方が長期的に見て会社の為になるのです。
社内で自分のキャリアのために転職しようと考えている人がいればどうか大切にしてください。社内で転職を悪とする風潮があるなら直ちに変えてください。あなたの会社の社員が全員「一生懸命、会社を担いでくれる人」でありますように。
『転職の思考法』
経営者にとっても、人事にとっても、全てもサラリーマンや就活生にとっても役立つ面白い本なので、是非手に取ってみてください。