- 「タレントアクイジションってなに?」
- 「従来のリクルーティングと何が違うの?」
- 「タレントアクイジションを取り入れるにはどうしたらいいの?」
という方に向けて今回は記事を書いています。
少子化が深刻な問題となっている近年、採用活動をおこなう企業では、人材獲得競争の激化が叫ばれるようになりました。
以来、あなたは「タレントアクイジション」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。
今回の記事では、人材獲得競争の激化でお悩みのあなたに、タレントアクイジションが注目されるようになった背景から導入方法まで、まとめて解説していきます。
この記事を最後まで読めば、タレントアクイジションの知識や導入方法を身につけることができ、優秀な人材を獲得することにつながるでしょう。
タレントアクイジションとは
まずはタレントアクイジションは、いったい何を表す言葉なのかについて説明していきます。
タレントアクイジションの意味
タレントアクイジションとは、優秀な人材の獲得に向けて採用活動を行う役職や組織、またはその行動を意味する多面的な言葉です。
これだけの説明で、「タレントアクイジション」の意味や概要すべてを理解することは難しいと思います。
もう少し詳しく説明すると、タレントアクイジションとは、
- 「自社の将来から逆算して、会社を担うタレント(優秀な人材)を定義する戦略立案」
- 「採用ブランドの強化」
- 「タレント候補者の獲得活動」
- 「将来の戦力になりうる潜在層へのアプローチと関係構築」
- 「タレント人材定着の支援活動」
といった、より経営戦略と密接した、広範囲かつ継続的な採用手法と言えます。
なぜタレントアクイジションが注目されるようになったのか
市場のグローバル化やロボット・AI(人工知能)の発達により、現代では、幅広い知識や情報を活かし自社のサービスに付加価値をもたらす労働者(ナレッジワーカー)が求められるようになりました。
そのため、人材の数よりも質も重視するタレントアクイジションが現代に即した採用手法として注目されています。
従来のリクルーティングとの違いは何か
従来のリクルーティングとの大きな違いは、「待ち」から「攻め」の採用に変わったことが挙げられます。
一口に従来のリクルーティングと言っても
- 求人広告
- 就活エージェント
- リファラル採用
- ソーシャルメディアリクルーティング
など様々な手法があります。
これら従来のリクルーティングは、指定された職種ごとに期間を定め応募者を募り、応募のあった人材の選別をする「待ち」の採用姿勢でした。
しかし、タレントアクイジションは
- 「自社の将来から逆算して、会社を担うタレント(優秀な人材)を定義する戦略立案」
- 「採用ブランドの強化」
- 「タレント候補者の獲得活動」
- 「将来の戦力になりうる潜在層へのアプローチと関係構築」
- 「タレント人材定着の支援活動」
など、より広範囲かつ能動的な活動であり、人材獲得競争に打ち勝つ「攻め」の採用姿勢であると言えます。
タレントアクイジション導入への7ステップ
タレントアクイジションの研究者Robin Ericksonによると、タレントアクイジションは従来のリクルーティングに加えて7つの特徴があります。
ここからは、タレントアクイジション導入への7ステップについて解説していきます。
1.タレント人材獲得に向けた採用計画・戦略を立案
従来のリクルーティングでも、採用したい人物像や採用計画・戦略を立案することはあったかもしれませんが、ここで意識するべきことは、「自社の将来から逆算して、会社を担うタレント(優秀な人材)を定義すること」です。
ここで重要となるのは、経営戦略や事業戦略から一貫して人事戦略を構築することです。従来の人員採用計画だけではなく、人材に関する予算管理なども関わっていく可能性があります。
2.組織体制の現状把握と必要なタレント人材の共有
組織図を理解し、人事戦略上どのような姿が必要かを見据える必要があります。
従来のリクルーティングでは空いてしまったポジションに相応しい人材を「待ち」の姿勢で獲得する傾向にありました。
しかし、タレントアクイジションでは経営戦略や事業戦略から将来の組織デザインを考慮し、採用後タレントが所属する部署のリーダーとタレント人材の要件を綿密にすり合わせます。
3.採用ブランディングの強化
従来のリクルーティングでも、採用ブランディングの強化は多くの企業で取り入れられてきましたが、下記の二点についても注意するべきです。
まず、SNSや企業評価サイトのブランドを構築させることです。
企業評価サイトは、在籍者・退職者から投稿されている企業の声が、そのまま企業の評価となります。そんな企業評価サイトを求職者が検索1つで手頃に見ることができる時代であるということをいま一度重要視する必要があります。
そのため企業は、従業員満足度や従業員の定着が企業評価サイトに通じることに改めて注意すべきです。従業員満足度アップや、退社の際も満足した退社ができるような内的マーケティングも重要になってきています。
4.必要なタレント人材を形成するための用件定義
必要なタレント人材の要件を定義した後は、そのタレント要件を満たす人材をどのように募集するかを見極めることが重要です。
つまり、欲しいタレント人材を定義することで、アプローチにはどのような採用手法、採用媒体が効果的か、どこに対象とする潜在層が多そうかなど、狙いを定められます。
タレント要件を詳細に決めれば決めるほど、タレント要件を満たす潜在層の規模は当然小さくなります。そのため、タレント要件の定義と潜在層の規模のバランスを考えながら、詳細を定義することが大切です。
5.採用候補者・辞退者との関係構築
面談の日程調整を迅速に行う、ビデオ面談などで場所にとらわれず面談できるなど、候補者目線で採用活動を行うことは、関係の構築をより強固なものにします。スピード感のある選考結果連絡なども関係を強固にする策として有効でしょう。
こうして築き上げた、採用候補者・辞退者との関係は、候補者のデータベース化に役立ちます。
選考初期の段階で適性テストなどを導入すれば、優秀な人材の適性に共通点が見つけられる可能性があります。将来的に候補者を選別する上でのヒントになるかもしれません。
6.採用改善のための指標の形成と分析
採用の改善には、戦略や採用の各プロセスにおいて根拠となる指標をデータをもとに構築し生かす必要があります。
せっかくタレント人材を獲得できたとしても再現性がなければ次に生かすことができません。「なぜ採用までこぎつけることができたのか」「採用に至らない場合は何に問題があったのか」「別の面接官でも面接結果は同じだったのか」など
採用過程で問題があった場合に対応するためにも、人材獲得のプロセスを確認する指標を作成し、常に確認する必要があるのです。
7.研修・面接などのタレント人材定着支援
アメリカから始まったタレントアクイジションですが、日本の採用ではオンボーディングの文化は根付いていません。
オンボーディングとは定着と活躍の支援のことです。採用が決定した後の定着、そして活躍して初めて、採用に価値があったと判断できます。
タレントの採用実現で満足することなく、定着、そして活躍までを戦略的に見届ける継続的な視点を持ち続けることが大切です。
タレント本人のモチベーションを高い状態に保つため、採用後にリクルーティングチームや現場人事、マネージャーと連携して、スキル・知識を習得したり会社のビジョン・文化・価値観を理解したりする研修、定期的な面談などを実施することが効果的です。
タレントアクイジションを活用して競合他社に差をつける
最後に、タレントアクイジション導入の7ステップをおさらいしましょう。
- タレント人材獲得に向けた採用計画・戦略を立案
- 組織体制の現状把握と必要なタレント人材の共有
- 採用ブランディングの強化
- 必要なタレント人材を形成するための用件定義
- 採用候補者・辞退者との関係構築
- 採用改善のための指標の形成と分析
- 研修・面接などのタレント人材定着支援
まだまだ確立されていない新しい手法ですが、採用チームに限らず企業全体でタレント獲得に向けて長期的に取り組むことは、次世代を担う優秀な人材獲得につながり、人材獲得競争の激しい現代で競合他者に差をつける有効な採用手法になると思います。
是非、自社の将来を考え、経営戦略や事業戦略から一貫して人事戦略を構築するタレントアクイジションの導入をご検討ください。